豆知識

印刷と著作権 Q&A

印刷物は著作権の塊である、といわれています。印刷は受発注2者間だけの問題ではなく、そこに関わる「著作者」との関係を把握しておかないと、トラブルのもととなります。日頃お客様からお聞きする「著作権に関わる疑問」について、まとめさせていただきました。

著作権ってどういうものをさすの?

著作権法では著作物を「思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」と定めています。
特に印刷物に関わる著作物は
(1)小説、論文などの「言語の著作物、
(2)絵画・彫刻などの「美術の著作物」、
(3)「地図・図形の著作物」、
(4)「写真の著作物」
(5)パソコンソフトなどの「プログラムの著作物」、
(6)「データベースの著作物」
などが挙げられます。
著作権は申請や登録を必要としません(無方式主義)。作品を創作または公表した時点で、誰にでも自動的に権利が発生します。

「版権」ってよく聞くけど、何?

印刷物を作成するときに作られる製版フィルムや、デジタルデータを含む印刷版(いわゆる版下)に関する権利のことです。これらは「中間生成物」と位置づけられ、過去の判例〈東京地裁 平成2年12月26日結審(2審)他〉からも、その所有権は印刷会社にあると認められています。
「製版フィルムorデジタルデータを譲って。(中間生成物の譲渡)」という話をたまに聞くのですが、基本的にそれらは別途有償となります。またそれ以上に著作権の問題が絡んできますので、2者間だけの所有権譲渡という話では終わらず、著作者の許可等も必要となります。

チラシを作りたい。雑誌から、お気に入りの写真をスキャナーで撮って流用して欲しいのだけど?

雑誌に掲載されている写真は、その撮影者および出版社から許可をいただかないと、そのまま使用できません。
営利目的での無断使用の場合、最悪裁判沙汰になります・・・。

著作権フリーと書かれているHPから素材をダウンロードしました。これを使って!

インターネットの写真やイラストなどは、基本的に個人や限られた範囲のみで使用できるものがほとんど。営利目的の場合には、制限がついている場合があります。もし「使用上の注意」などが掲載されている場合は、それをよく読み、守りましょう。

執筆者から寄稿いただいたのだけど、長くって…。 勝手に削ったらマズイ?

もちろん、著作者人格権の同一性保持権や著作財産権の翻案権(著作物を変形する権利)に触れますので、トラブルのもととなります。著作者ご本人に修正していただくか、編集側にて修正したものを著作者に確認していただいた上で、了承をいただきましょう。
また、写真のトリミングやイラストの色合い、ロゴの変形なども同様に注意が必要です。

印刷物と一緒に、PDFデータも納品して!

最近は印刷版をパソコンで作ることがほとんど。
その印刷版をPDFデータに変換することは難しくはないのですが、もともとそのデータは「その印刷物」を作るために作成されたもの。文章や写真の著作権は、当然その作家や写真家に帰属しています。よって、そのデータを流用して違う印刷物を作る、またPDFをインターネットで公開するなどの二次利用となると、著作権の複製権や公衆送信権の許諾という話になります。著作者や出版社または印刷会社とよく相談し、了承をいただくべきでしょう。
なお、PDFデータを作成する場合は、基本的に有償となります。

コラム「著作権の歴史」
著作権の歴史は古く、ヨーロッパにおいては、グーテンベルクが活版印刷に成功してから急速に印刷技術が広まり、従来の書写された本や印刷された書籍の印刷物の復刻も行われました。一方、海賊版やさまざまな思想書の発刊が行われたため、行政側は印刷、出版の特別許可制を実施したりしました。しかし、これは行政が、独占的に出版権をにぎり、思想統制にも通じるものがありました。1710年、アン王女は個人の著作権を認めました。これが世界最初の著作権法です。


●アン法
イギリスのアン王女(1665~1724年)が、初めて個人の著作権を認めた著作権法である。既刊本の著者に21年間、未刊本の著者に14年間の出版権を与えたもの。

引用文献 DTPエキスパート読本('05~'06)

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